犬は果物大好き下(シモ)の話

2009年10月30日

日本でのお礼の仕方

以前スリランカの会合でスリランカから日本にきた人にまず日本でのお礼の仕方を教えたという話を聞いたことを思い出した。

日本ではお礼は三回言いなさいですと。これ日本人でも参考になった。日本ではご馳走になったり、なにかいただきものをしたり、お呼ばれされたりした時、
1) まずはその時その場で礼を言うこと、
2) 翌日あるいは数日後、接触があった時、二度目の礼を言うこと、
3) そしてしばらく後、その節はありがとうございました、と三度目の礼を言うこと、だそうだ。こうすれば礼を失することはないという。

以前日本に帰化した中国人のお嬢さんの成人式の着物を着せるお手伝いをしたことがある。着物は誰かからいただいたそうだが、着物を着るのに必要な帯や帯揚げ、長じゅばんから足袋、草履、バッグ、髪飾りにいたるすべての小物を着物に合わせて妹が手配してもっていった。着つけは都心のホテルにお願いした。それはすばらしい着物姿だった。ホテルの撮影室で全身から座った姿、後ろ姿まできれいに写真に収めた。離婚した中国人のご主人もかけつけ、その美しさにため息をついていた。妹も含め、本人と別れた夫婦と皆でホテルのダイニングで食事をし、私と妹は帰宅した。本人は東大の友人たちと遅くまで着物姿で遊んだそうだ。そう、彼女は5,6歳で日本に来た時、日本語もわからなかったのだけど、勉強は優秀で現役で東大に入り、法学部の学生だ。貸した小物類は後日宅配で返してもらうようにした。

宅配の箱を開けた妹はぐちゃぐちゃになった襦袢やヒモ類、帯などため息をついて片づけたそうだ。着物に合わせて妹の友人から借りた30万円もするという帯揚げの箱がない、と大騒ぎだった。本人の母親がいらないと思って捨ててしまっていたのを、私が都心まで取りにいったらゴミ箱にあった。こういうところはやはり借りた日本人とは違うわねえ、と思った。

さらに日本人と違うなあ、と思ったのは1週間後彼女の家に行った時のことだ。遅く起きてきた東大生の本人は眠そうな顔で朝食の食卓についた。私の顔をちらと見てなにも言わずに黙々と食べている。だんだん腹が立ってきて、「先週お友達に着物姿は評判よかった?」と業を煮やしてたずねた。愛嬌のない声で「はい」だけだ。ここでスリランカの人に助言した言葉を思い出した。そう、二度目のお礼を言うべきなのだ。

着物を着せた二日後に北京へ帰った本人の母親に私は帯揚げを借りた妹の友人にお礼をしたいから北京土産のなにかを買ってきてほしいと依頼した。もちろん妹は礼をつくしてすでにお礼はしているが、借りた本人のお礼が必要と思ったのだ。高価なものでなくてお茶でもいい、と言っておいた。ところが彼女はなにも買ってこなくて、私は怒った。そうしたら、今週北京へ行く友人がいるからその人に買ってきてもらう、とのたもうた。私はさらに怒った。そんな心のこもらないものはいらない!と。

以前彼女と信州へ旅行した時も怒ったことがある。それは信州の方がJRの往復切符を彼女に贈ってくれていたのだ。それで信州に着いた夜、おかげさまでここまで来れました、とお礼を言いなさいよ、と日本式のお礼を言うよう助言した。そうしたら、彼女はすでにお礼は言ってあるからもう言わなくていい、と言った。ここは日本だから日本式にお礼を言った方がいい、何度言っても減るもんじゃなし、と。でも頑固な彼女は滞在している間中言わなかった。彼女は一度目の礼すらその場で言わなかったことになる。私は帰宅してから彼女に代わり丁重にお礼を書いた。そう滞在させたいただいた方は松本サリンで有名な河野さんだ。

中国人は掘ってもらった井戸の感謝は忘れない、ということをこの時疑った。この人とはそれからさまざまな迷惑をこうむり、今は関係が途絶えている。もう懲りた。二度と交流はない。でも彼女が紹介してくれた北京の中国の方はとても礼をつくす方でその方とは暖かい交流が続いている。迷惑をこうむったような中国人はあまりいないと信じたい。彼女のお嬢さんは無事東大を卒業し、公務員になったという。無愛想な公務員になっていないかしら、と時々思う。
 


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remmikki at 21:48│Comments(0)TrackBack(0)海外関係 

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