2009年06月

足利事件に思う

足利事件の犯人とされていた菅谷利和さんが17年ぶりに釈放された。DNA鑑定で無罪が証明されたからだ。もっと早期にわかった機会もあったのに警察検察司法の誰もが自白と古い鑑定方法により本人の痛切な訴えに耳を傾けなかった。自白強要を裁判官も信じ、このような冤罪が後を絶たない。自分や家族が巻き込まれたらと思うと本当に怖い。
一度犯人にされ、自白強要され、起訴されると日本の刑事事件の有罪率は99.9%有罪という怖さである。裁判員制度がどこまでこのようなことを阻止できるかはまだ未定だ。
私が知るある冤罪事件では珍しく無罪を勝ち取った女性がいる。あるA信用金庫にパートで勤めるSさん、お子さんがふたりいるごく普通の主婦が、パート先の税金が支払われていないことが発覚して窓口業務をしていたことから犯人にさせられていく。彼女が無罪を勝ち取ったひとつはやってないものはやってない、とずっと口を割らなかったことだ。やはり女性は強い、と思う。お子さんが高校受験の時で「家に帰りたきゃ、白状しろ!」といわれても拘留が4ヶ月に及んでも絶対に「やりました」と言わなかったことが無罪につながったのでは、と思う。ごく普通のささやかな家庭を営む主婦がこんな事件に巻き込まれていく怖さを身近に感じた事件だった。この裁判には埼玉まで数回通って傍聴もした。いつどういうことで冤罪事件に巻き込まれるかわからない今の社会では防衛のしようもない。ひとたび巻き込まれたら、信念を貫き、警察検察の強要に負けないことだ、と思った。

NHKドラマー「遥かなる絆」

NHKで数回に渡って土曜夜に放映された「遥かなる絆」が終わり、日曜に作者ご本人と原作の主人公であるお父さん、城戸幹さんが中国を訪れる映像が流れた。中国の養母に拾われ、20代まで中国に住むが日本人であると真実を報告したゆえ、優秀な成績なのに大学入学も拒否され、肉体労働でお金を稼ぎ、日本赤十字社へ何度も手紙を書いてようやく両親を探し当て、20代後半で日本帰国を果たしたという現実の話を娘の久枝さんの中国留学を交えて物語が展開していくという感動的ドラマだった。

この映画を見ると幹さんと中国人との深い絆が描かれ、人種を超えた人と人の交流に感動したものだ。私はひょんなことから日本の大企業に勤めて日本人に帰化した中国人女性と知り合い、彼女がこの大企業から雇い止めにあったきっかけで支援することとなったが、気性の激しさ、人の助言を聞かない、なにか言えば、逆切れ、となり、とうとう支援を降りることとなった。その間、収入もない彼女にお金を貸していて、戻らないと思っていたが、数日前に現金書留が届いて戻ってきた。入っていた手紙は17年も日本にいるのに日本語はおそまつ、でもおそまつながらも訴えるものがあればうれしいのだが、途切れていた間の報告もなし、お金は戻ったがむなしさだけが残る内容だった。今北京でやりとりしている中国人もとてもいい人で、「中国人は井戸を掘った恩人は生涯忘れない」ということわざを書いてきたが、この帰化中国人にはそれは通じない、と感じる。ドラマでみた中国人と実際何度も罵倒されたこの中国人女性とのギャップが大きくていまだに中国人については怖いと思ってしまう。

ドラマを見てそんなことを思った次第です。
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Mikki

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