河野氏の講演は子供時代の悪がき時代の話からサリン事件に巻き込まれ、容疑者として疑われた報道被害と警察の過酷な取調べ、世間の冷たい対応に高校一年生だったご長男さんが一手に引き受けた話に時間も忘れて引き込まれた。河野さんの終始一貫して沈着冷静な対応がどこからくるのか、が子供時代の話に通じているのでは、と感じた。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉に一時は誤って加害者となった経験から加害者の家族まで世間が仕打ちをするべきでない、裁くのは裁判で、ということを訴えてらした。もし自分のまわりに事件の加害者となるべき人がいたら、どうかその家族まで仕打ちをしないでください、という。河野さんがオウム信者たちをご自宅にまで受け入れていらっしゃることはこういう考えからだろうと思う。まさに聖職者のような考えだ。サリンで寝たきりになった奥様を15年も献身的に看てにっくきオウムと思っても当然なのにこの大きな広いキャパシティに普通の人でない大きさを感じる。
私はある知り合いを通じて河野氏とも知り合い、以前河野氏のご自宅に泊めていただき、ゆっくりお話させていただいたことがある。その時にもオウム信者も泊めていると聞いて驚いたことを覚えている。普通の人以上の人と感じたことが今回の講座を聞いてさらに確信した。
午後は鎌倉の銭洗い天神近くに住む私が以前働いていた会社のクリエイティブディレクターだった方が作った店を訪れた。その方は会社を辞めた後大学教授となり、その大学の学長さんにまでなった。今はリタイアしてご自宅で小さいログハウスを作り、ご夫婦で作った作品を置いている。赤い小さなログハウスはなんとも可愛い店だ。置いてある品はどれも手作りのやさしい作品ばかりだ。仕事をリタイアし、小さなログハウスで好きな作品を作り、売る、採算性はないかもしれないけれど、うらやましいリタイア生活だ。銭洗い天神近くの"Hand & Soul"という店だ。鎌倉へ行く機会があればぜひ訪れてみてください。