アラン・ビーズ&バーバラ・ピース著作の「話しを聞かない男、地図が読めない女」という本が話題になったことがあった。
私はよくまわりから「地図が読める女」と言われている。実際、方向感覚は抜群、一度行ったことのあるところは二度目にはちゃんと目的地までたどりつく。これ、当たり前と思っていたが、何度行っても覚えられない、という人が多いことに気付いた。それに行ったことのないところも抜群の方向感覚でたどりつける。これは一種の才能だとも言われた。そんなあ、当然でしょうに、と思うのだが。
きのうは民事裁判経験者の女性たちと横浜のご自宅でちょっと遅い新年会だった。料理の上手な彼女の手料理と白と赤のワインでしこたまご馳走になった。デザートのチーズケーキもいちごをはさんだスポンジケーキも手作りだ。残りのケーキや庭のお野菜もお土産にいただいてきた。
その彼女のお宅は東横線菊名駅から坂を上がっていく。道もかなり曲がりくねって、何度も横道を左折、右折、とかなり複雑。歩いて20分くらい。12月に忘年会で伺った時は彼女が駅まで迎えにきてくれて、一緒に歩いた。それで私はもう行けるから駅まで迎えはいらない、と言った。もうひとりの女友達と菊名駅で待ち合わせたが、彼女はまったくの方向音痴で一度一緒に行っているけど、ひとりでは絶対に行けないという。坂を上がるのがしんどいのとあまり歩くのを避けたいというのでバスで行く方法を教えてもらっておいた。駅前にちょうどバスがきたので飛び乗った。3つ目のバス停で降りたらすぐに場所がわかった。そこからさらに坂を下りて、何度も曲がりくねった道をさらに歩く。そうしてたどりついて、玄関のチャイムを鳴らす。一度も電話で聞いたりせずにたどりついた。一緒にきた友人もびっくり、出迎えた彼女もびっくりしていた。
帰宅したら彼女からメールが入っていて「貴女の土地勘は素晴らしいです。感服しました。」と書いてきた。自分では当たり前のことなんだけどなあ。
この土地勘、日本だけと思っていたら、海外でも通じるということに気付いた。パリでもオペラ座近辺から自分の滞在先ホテルまで勘でたどいついたし、どこにいても自分のいる場所がパリのどこか、わかった。メルボルンでも同じ。上海でも北京でもちゃんとわかって目的地にたどりつく。
北京で万里の長城へ観光した後、天安門まで連れていかれるとタクシーは拾えないので困るなあ、と目をこらしていたら、赤信号で止まっていた先の道路が自分の滞在先のホテルの前の通りと同じだ、と直感した。そこで青信号で渡った先で止まって降ろしてくれ、と英語でわめいて降ろしてもらった。そこから延々歩いたら、自分のホテルにたどり着いた。妹と一緒に行ったメルボルンでも乗ったバスが逆方向と気付いてすぐに降ろしてもらい、別のバスで姪の自宅にたどりついたことがあった。妹はなんでわかったの?とびっくり。赤信号で右折ラインに入るべきところが左折ラインで止まったから、簡単よ、と言ったら、それでもよく気付いた、と驚いていた。
やはり妹と一緒だった上海で都心のショッピングエリアから夜観劇を予定していた劇場に歩いていくのに妹はそっちじゃない!とかなり言い張ったが、私の方向感覚の方に強引に連れて歩いていったら、「あら、ほんとうだ」とまたびっくり。知り合いとシドニーへ行った時も同じ。ちゃあんと知らない目的地へたどりつき、帰りは郊外からバスでシドニー中心部まで着いて、そこから自分のホテルまで歩いてたどりついた。
どうやってこの方向感覚が備わったのか自分でもわからない。でもありがたい便利な才能だ。