
先生のお宅で何人かホームステイを受けたのは男子学生ばかりだったが、ひとりはベルギーからの女子学生だった。女の子を預かったからには間違いがあってはいけない、と外出すると駅まで送り迎えしたり、お弁当を作ってあげたり、日光や京都・奈良、広島へも連れていったとのこと。その女子学生が滞在してまもなく、封筒をI先生ご夫婦に差し出したという。中にはお金が入っていた。ご夫婦は「ここはホテルではないのだから受け取れない」と言って返したという。
そして2ヵ月間の滞在中、「日本のお父さん、お母さん」と慕ってくれた。帰る日は涙涙でハグしたという。そして彼女がベルギーへ帰ってから1ヵ月後、彼女のご両親からお礼の品が届いた。開けてみるとなんとそれはベルギーのデビアス・ダイアモンドの指輪だったという。そういえば指輪のサイズを聞かれたがそんなプレゼントのためとは気づかなかったという。まあ、すばらしいお話!と同席していたSさんと手をたたいた。
それを聞いて、我が家も男の子ふたりが別々の年にホームステイしたことを思い出した。二男のイースタン・ワシントン大学留学時代のルームメートのトニーは愛嬌のあるいい子だった。もうひとり私のカレッジ時代の同級生だった夫婦の息子、アンディ。彼らからそんな大層なプレゼントなどなかった。アンディは両親を昔からよく知っていて、お礼のメールも来ていた。でもトニーの両親はまったく知らない。日本に来る前も帰った後もお礼の手紙すらなかったわ、と思い出した。
先生が受け入れたベルギーのご両親はほんとうに感謝したのだわね。受け入れた子がどんな家庭か、こういうことでわかる。
自分のダイアモンドは自分で買うしかなかった。これはAspreyというイギリスの英王室御用達の宝飾店。女王陛下のティアラなど奉納している格式ある店。これは2カラットのダイアの指輪。私が現役で働いていた頃、友人がこのブランドのダイアの指輪を格安で売るというので思い切って彼女から買った。彼女の友人がNY Aspreyで働いていたことから手に入れたもの。石は傷があったり、曇っていたりであまり上等ではない。でも石の大きさとティアドロップ型デザインが気に入って買ってしまった。久しぶりに指にはめてみたら、なんと指が太って入らない。サイズを大きくするか、痩せるかしないと。