アメリカの作家エリック・シーガルが1月17日に亡くなったという報道を聞いた。1970年代「ラブ・ストーリー」という映画が大ヒットした。1970年代に青春を送った人は覚えているのでは。日本では「ある愛の詩」という題名の純愛映画だ。その映画の原作者。ライアン・オニールとアリ・マクグロー主演。大富豪の主人公オリバーは貧乏女子大生のジェニファーとの結婚を大富豪の父親は許さない。愛を貫くがジェニファーは不治の病に冒されて亡くなる、という涙なしでは見られない純愛映画だった。

この映画がヒットしていた時、私はニューヨークにひとり住んでいた。週末になるとシングルズバーへ行ったり、デート相手を探したり青春を謳歌していた。どうやって知り合ったか忘れてしまったが、リッチな独身ユダヤ人の男性と知り合った。この人は先日フロリダで亡くなったブルックリンのユダヤ人ボーイフレンドとは違う相手だ。あ〜、年月って恐ろしい、この相手の名前すら覚えてないのだから。でも何度かデートしたことは覚えている。

その彼と最初にデートしたのが映画館でこの純愛映画を観たことだった。ところが私はまだNYに来たばかりで、早々とボーイフレンドを一人に絞ることに抵抗を感じていた。それでやはりNYで勉強している女友達を連れていってしまった。ふたりで観る純愛映画なのにもうひとり連れていってしまったのだ。彼はそれでもいやな顔せず、3人でこの映画を観た。見終わった私たちふたりの女性は涙で顔がくしゃくしゃ。その後どうしたのかも覚えてない。ただこの男性、私を結婚相手とみて交際を申し込んできた。この男性と結婚していたら、私はリッチなNYのユダヤ人男性夫人となっていたのだろうか。

アメリカでのデートと言えば、その数年前にさかのぼったミネアポリスでもデートしたことがある。ひそかに思いを馳せた同級生の男の子とようやくデートにこぎつけ、ミネアポリスでその頃唯一の日本料理店でてんぷらを食べた。その後、映画に行った。ところが食べたエビのてんぷらがおなかにあたって、映画の最初から最後までトイレから出られなかった。この時見た映画が何だったかは思い出せない。

ホームステイ先のご夫婦がお見合い相手に日本人男性を見つけてきた。ミネアポリスに本社を置く大手アメリカ企業に勤務する人だった。自宅に招待し、夕食を一緒にした。この時奥様が撮ってくれた夕食テーブルでの写真が一枚ある。その後、映画を観に行った。ところがその映画のチケットを私に払わせたことで相手に対する興味を一気になくして、その後デートは断った。この時の映画は覚えている!確か「サボテンの花」というコメディでゴールディ・ホーンという可愛い女優さんが主演だった。

アメリカでもけっこうおつきあいしたけど、結局結婚にはいたらず、帰国して典型的な日本人男性と結婚してしまって現在にいたっている。まあ、可愛い息子ふたりにも恵まれ、仕事も子育てしながらやり遂げ、まあまあの人生だったと思う。アメリカで結婚していたらどんな人生だったのだろう、と時々思う。