発売中の週刊ポスト2011.9.9号が「松下政経塾に総理の器なし」というタイトルで特集をしている。

これでは政経塾を創った松下幸之助さんも天国で嘆いていることだろう。下記は「うさぎの世界は腹黒い2」サイトから抜粋。

 ステイタスは「直衆」「直首」
 (前略)なぜ松下政経塾では脇の甘い議員たちが量産されてしまうのか。

 同塾は、「国家百年の計」を持った政治家を送り出すべく、松下幸之助が私財70億円を投じて79年に設立した。神奈川県茅ヶ崎市に6000坪の敷地を持つ4年制の政治家養成機関である。授業料は無償。逆に「研修資金」として、寮生活が義務づけられる1年目は月20万、2年目からは月25万円の給料が支払われ、加えて年間100万円以上の活動資金もある。

 朝6時起床。ラジオ体操に始まり、清掃、海辺のランニング、塾是唱和の後、講義や研修に臨む。政治学などの講義はあるものの、政治家とての下地となる知識を学ぼうとする塾生は少ない。

 多くの塾生たちの頭にあるのは、何より「政界へのコネクション作り」である。『松下政経塾とは何か』(新潮新書)の著者でジャーナリストの出井康博氏がいう。
「日本新党ブームで塾出身の議員が増え、塾生たちは政党の公認を得ようとOBの先輩議員との関係作りにばかり精を出すようになった。結果、政経塾は“政治家予備校“になりはててしまった」

 塾生たちのステイタスを示す称号として、「直衆」(ちょくしゅう)「直首」(ちょっくび)がある。前者は地方議員などの下積みを経ずに直接代議士に当選すること、後者は、直接自治体の首長になることを指す。

塾生0Bがいう。「塾生の傾向として、下積みを嫌い、一刻も早く脚光を浴びたいというタイプが多い。結局、大政党の公認を得て国政選挙などの候補者になった人間の勝ち、という塾内の空気をよく表わした言葉です。塾生はライバルであっても同志ではない。だから政治家になっても共闘できないわけです」

 彼らが一番熱心に競うのは、もちろん政策ではなく演説の能力だ。

 「地盤も看板もカバン(資金)もない政治家志望者が有権者を惹きつけるには言葉の力しかないと塾生は皆考えている。だから、塾生や0Bたちは決まってものすごい量の街頭演説をこなす。しかし、主張する政策を実現する術を学んでいるわけではない。それが“口先だけ”“パフォーマンス先行”といわれる所以かもしれない」(前出・OB)

 創立者・松下幸之助氏の元秘書で塾の運営に長く関わってきた江口克彦・参院議員が語る。

 「幸之助は学間より人間観一を身につけることを重視していたが、今の政経塾出身の議員を見ると、天下国家より我が身の出世大事になっている。結局、幸之助が政経塾に期待していた人間観や志を体得する人物は育たなかったといえる」
 
 しかし「予備校」としてはよく機能した。その結果が政治のこの体たらくだ。(後略、週刊ポスト2011/9/9 P34から抜粋)

なあるほどね。警察や官僚の「キャリア組」もそう。エリートと言われながらろくでもない人間ばかりだ。