先日11月22日に映画「もうひとりの息子」という赤ちゃん取り違えでパレスチナとイスラエルに別れた敵対する国の親子の取り違え事件を映画化したのを見たストーリーを書いた。

今朝の読売新聞を見ていたら、60年前の赤ちゃん取り違えで、重大な不利益と病院を訴えた裁判で、3800万円の支払いを命じる判決が出た。

というのはこの60歳男性は不幸なことに、生活保護を受けるほど困窮した家庭の4男として育てられ、義務教育しか教育を受けられず、中学を出て町工場で働かされた。男性は真の両親との交流を絶たれ、貧しい家庭環境で育つなど重大な精神的苦痛を被った、という性格苦の人生だった。

片や取り違えられた男性で、本来はこの訴えた男性が育てられるべきだった家庭は裕福で大学まで進学させてもらえた。

双方の家庭が同じような経済的環境だったらまだしも、こんなに経済の落差がある家庭に育ったとなると取り返しのつかない人生を歩まされたことになる。本当の両親は子どもの事を知らずに、もう他界しているそうだ。

読売新聞
2013年11月27日09時06分

新生児取り違え「重大な不利益」と賠償命令

 60年前に出生した産院で別の新生児と取り違えられたとして、東京都内の男性(60)らが墨田区の「賛育会病院」側に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は26日、病院側に計3800万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 宮坂昌利裁判長は、「男性は真の両親との交流を絶たれ、貧しい家庭環境で育つなど重大な精神的苦痛を被った」と指摘した。

 男性は1953年に同病院で生まれ、別の家族の四男として育った。しかし、2011年、本来の家族内で似ていない兄弟がいることが問題となり、病院の記録を調べて取り違えの疑惑が発覚。昨年1月に行ったDNA鑑定で、男性が本来の家族の長男であることが判明した。

 判決は、男性が出生直後、助産師らに産湯に入れてもらうなどしている間に、男性の13分後に出生した別の男児と取り違えられたと認定。その上で、男性が生活保護を受ける家庭環境で育ち、進学をあきらめて中学卒業後に町工場に就職した一方、取り違えられた男児は裕福な家庭で育ち、大学に進学したと指摘した。

 原告の実の両親は取り違えの事実を知らないまま他界しており、判決は「生活環境の格差は歴然としており、男性は重大な不利益を被った。真の親子の交流を永遠に絶たれた両親と男性の喪失感や無念は察するに余りある」と述べた。

 病院側は時効(10年)の成立も主張したが、判決は「DNA鑑定の結果が明らかになった時から時効がスタートする」と判断した。

 男性の代理人の弁護士は判決後、「男性の人生が狂わされたことの重大さを理解した判決だ」と評価。一方、賛育会病院は「判決内容を確認し、今後の対応を検討したい」としている。


重大な不利益の賠償命令、3800万円もらっても取り返しのつかない60年の人生であり、取り違え事件だった。

この男性、両親の相続権利も発生するだろうに、それはどうなったのだろう。